耐摩耗スパイラルエルボと空気輸送配管の摩耗問題解析
空気輸送システムにおいて、粒子状の物質が流れる際にエルボを通過すると、エルボの端部に直接衝突し、跳ね返りや乱流を引き起こします。これにより、管壁の急速な摩耗、流速の低下、輸送効率の低下、さらには閉塞といった問題が発生します。これらの問題を解決するために、多くの従来型の対策が考案されましたが、それぞれに限界があります。
従来型エルボの摩耗問題と改善策
従来型エルボの問題点
エルボの内壁が急速に摩耗する:直管からエルボに入る輸送物が管壁に直接衝突し、跳ね返った後も再び衝突を繰り返すため、肘管内壁の摩耗が著しく進行します。
流量の低下と閉塞の発生:衝突による乱流が生じ、輸送物が管内をスムーズに流れず、輸送効率が低下し、最悪の場合、物質が蓄積して配管が詰まることがあります。
圧力上昇と設備の損耗:この問題を解決するために、システム全体の圧力を上げる、またはエルボの前で二次圧縮空気を導入することが行われます。しかし、これによりエルボの摩耗が加速し、設備の寿命が短くなります。
従来型の改善策とその限界
大曲げエルボ
エルボの曲率半径を大きくすることで衝突範囲を広げ、単位衝撃圧を低減し、管壁の摩耗を抑えます。しかし、エルボの内径が大きくなることで輸送物の跳ね返りが増え、乱流が発生しやすくなり、結果として流速の低下を招きます。また、低融点材料を輸送する場合、管壁との摩擦熱で溶融し、製品の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。
チーズとフランジの組み合わせ
T字型のチーズの端部に輸送物を蓄積させ、それをクッションとして利用し、直接の衝撃を防ぐ方法です。しかし、出口側では輸送物が強い衝撃を受け続けるため、出口管壁の摩耗が激しくなります。また、粉末状の物質が端部に蓄積し、管径が狭まり、輸送効率が低下、最終的には完全に詰まる可能性があります。
この問題を解決するために圧力を上げたり、二次圧縮空気を導入したりすると、出口側の管壁の摩耗が加速し、設備の損傷をさらに悪化させることになります。
耐摩耗スパイラルエルボの設計と利点
これらの問題を効果的に解決するために、耐摩耗スパイラルエルボは特殊な螺旋状の空間を備えた設計を採用し、輸送物がエルボ内部で滑らかに流れるようにすることで、直接の衝撃を防ぎ、摩耗を大幅に軽減します。
空気輸送配管と流体の安定性分析
空気輸送システムにおいて、流体の安定性を確保し、圧力損失を低減するためには、計器、制御機器、バルブ、フランジなどの接続方法に特に注意が必要です。
乱流の発生を防ぐために、通常、配管の接続長さを管内径の10倍以上に設定します。
流体の流れと完全発展流
流体が管内に入ると、その流れはまだ十分に発展しておらず、螺旋自由振動状態にあり、管壁の影響をあまり受けません。
しかし、流体が管内を進むにつれて、管壁の摩擦によって速度分布が変化します。
速度分布が安定し、一定の流れを形成した状態を「完全発展流」と呼びます。
完全発展流に到達するまでの距離は、レイノルズ数によって決まります。
一般に、層流の入口長さは乱流の入口長さよりも長く、この違いが流体の発展過程に影響を与えます。
接続部の流れへの影響と耐摩耗螺旋エルボの利点
計器、バルブ、フランジの接続部分では、段差があるため流体が不規則に跳ね、以下の問題を引き起こします。
1.配管の摩耗:高速流体の衝撃によって管内壁の摩耗が加速し、設備の寿命が短くなる。
2.圧力損失の増加:乱流や紊流の発生によりエネルギーが失われ、システムの運用コストが増加。
この問題を解決するために、「耐摩耗螺旋エルボ」が有効です。
増圧チャンバー内の正圧により、乱流や紊流を安定させ、流体がスムーズにエルボ部を通過できるように設計されています。
その結果、以下の効果が得られます。
•配管の摩耗を軽減し、設備寿命を延長。
•圧力損失を低減し、輸送効率を向上。
適切な配管設計と耐摩耗部品の活用により、空気輸送システムの安定性と性能を向上させ、メンテナンスコストを削減できます。